水が大好きな「クロヘゴ」とどう過ごすか

クロヘゴ(Cyathea podophylla)。別名「オニヘゴ」。
自生地は中国南部、台湾、ベトナム、ミャンマー、そして日本では沖縄。
茎の高さは1.5メートルほどで、葉は1〜2メートルにもなる大きなシダ植物です。
枯れた茎が突起のように残るのが特徴で、ヒカゲヘゴのようにぽろっと落ちることはありません。見分けのポイントのひとつですね。全体的に黒っぽくて、茎の毛や葉の色も深みのある色合いです。
でも…詳しい情報があまりないんです。
シダ植物って、なんだかそういうところありますよね。

ヒカゲヘゴはふわふわなんだけど



クロヘゴは剛毛だね!
クロヘゴがやってきた日


我が家に迎えたクロヘゴは、最初こそ大きな葉を一枚つけていたものの、だんだんと葉が枯れ、茎だけの姿になってしまいました。
その後、何度か太くてかわいらしいワラビ(新芽)を出してくれたのですが、どうやら環境が合わなかったようで、葉が開く前に枯れてしまうことが続きました。





10月ごろの話かな…
一生けんめい葉水したけどダメだったね



ワラビが出た!枯れた!で一喜一憂してたね
以前、ヒカゲヘゴを枯らしてしまった経験があり、私たちもとても落ち込んでしまいました。
「もう、うちにはヘゴは合わないのかもしれないね」と話すことも。
小さな温室、大きな変化
それでも、どうしても育てたくて。
寒い季節を前に、押入れを改造して温室を作ることにしました。
そこへクロヘゴをはじめとするシダたちを移したところ、少しずつ変化が見えてきたんです。
それまで成長率が5割ほどだったワラビが、今では8割くらいの確率で無事に葉を広げてくれるようになりました。
クロヘゴも、4枚の大きな葉を展開し、今も新しいワラビを準備中。
リュウビンタイやカツモウイノデも元気に葉を広げています。


ワラビが出た=安心、じゃないんです
シダ植物と暮らしてみて気づいたことは、「ワラビが出たからって、葉になるとは限らない」ということ。
葉が開くには、たっぷりの湿度と水分が必要です。
というのも、シダ植物には水分を蓄える機能がなく、その場その場で水を吸い上げて生きているから。
湿度が足りないと、葉が開く前にしおれてしまうこともあります。
だからこそ、加湿器を使ったり、環境を工夫して育てることが大切なんだなあと感じています。
小さな森、育っています


最近では、胞子が舞い込んで、小さなジャングルのようになってきました。
知らない誰かのシダも一緒に育っていて、なんだか賑やかです。
クロヘゴは、自然界でも枯れた葉を落とさず、茎に隙間ができる構造。
その隙間は、他の植物にとっての“ゆりかご”になり、着生植物たちが育つ場所になります。
この性質を活かして作られたのが、枯れたヘゴを乾燥させて作った「ヘゴ支柱」。
今ではプラスチック製もありますが、名前だけは今も「ヘゴ支柱」のまま。
巻きついた植物を「ヘゴ仕立て」と呼ぶこともあるので、ご存知の方は多いと思います。
宿る植物と、共に生きるということ
クロヘゴが他の植物を宿す姿には、どこか“共生”の美しさがあります。
病気になりそうなものは取り除きますが、基本的にはそのまま。
そうして一緒に育っていく姿が、私はとても好きです。
なんとなく、ジブリの世界の森を思い出すような、そんな風景です。
これからも、シダにやさしい家で
クロヘゴには、これからも長く元気に育ってほしいと思っています。
そして、ボ谷家も“シダにやさしい家”を目指して、これからも植物との暮らしを楽しんでいきたいです。



まだ紹介しきれてないシダがいっぱいいるんだけど
どれも個性が爆発してて感動するよね!



ふさふさの根っこ!ぷりっぷりの根っこ!
小さくてけなげなワラビ!シダは本当にかわいい!
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